ASEAN向けのビジネスについて教えてください。
SocioFutureはASEAN地域で、特にタイとインドネシアを中心に、2つの主要なビジネスラインを推進しています。
1.タイにおけるBPOサービス:
タイでは3つの会社を運営し、日本国内およびタイ国内の日系企業向けにBPOサービスを提供しています。
ATMJ Thailand:日本の金融機関向けにサービスを提供し、主にATMの故障対応ヘルプデスクを運営。
BPO Bangkok:金融機関以外の企業向けに、エンドユーザーヘルプデスクや人材サービス関連のBPO業務を展開。
I-AGREX(Thailand)CO.,LTD.:在タイ日系企業と日本国内企業に対し、社内業務のアウトソーシングやコールセンターサービスを提供。2.インドネシアでのATM関連サービス:
コンビニエンスストアや商業施設に約8,000台のATMを設置し、サービスを展開しています。この事業はインドネシア国内で金融アクセスの向上に貢献しています。これらの活動を通じて、SocioFutureはASEAN地域でのビジネス拡大を図り、地域社会の発展に貢献しています。特に、タイとインドネシアでの事業展開は、地域特有のニーズに応える形でサービスを提供しており、ASEAN地域におけるビジネスの多様性と拡張性を示しています。
ASEANビジネスに、力を入れようと思った経緯や理由を教えてください。
約25年に渡って日本の金融ビジネスを見てきた私たちは、日本が直面している少子高齢化などの社会問題や、今後の事業拡大の観点からグローバル展開の必要性を感じています。ASEAN地域はその平均年齢からも、今後市場規模が拡大していくことが予想されます。このようにSocioFutureは、グローバル展開を通じて、より多くの地域で社会貢献を目指しています。ASEAN地域での事業展開は、私たちのビジョンを具体化し、新たな市場での成長機会を追求するための第一歩です。
バンコクのBPO事業について、聞かせてください。
タイのバンコクでBPOサービスを立ち上げた際、私たちはタイの投資奨励制度であるBOIライセンスの取得を前提に、日本向けおよびタイ国内の日系企業向けサービスを提供する計画を立てていました。しかし、ビジネスを始めるタイミングでライセンスの発行基準が変更され、想定したよりも自由度の低いライセンスしか取得できなかったことと、2020年に始まったパンデミックの影響で事業開始が困難な状況に直面しました。この状況を乗り越えるため、私は自由度の高いライセンスを持つ企業をグループに加える方針を立て、M&Aを通じてBPOサービスの拡大を図る決断をしました。さらにこのタイミングで、ASEAN地域における事業展開の核となる企業をシンガポールに設立し、その企業にはASEAN地域のみならず世界的に事業展開しているSBIホールディングスグループにも資本参加いただく計画をたて、SOCIOFUTURE Singaporeを立ち上げました。そして2022年12月にBPO BangkokというBOIライセンスを取得しているタイ国内最大規模の企業をSocioFutureグループに迎えることができました。同社は、日本向けサービスを提供しており、安定した顧客基盤と10年以上のサービス提供実績を支えてきた経験豊富で優秀なメンバーが多数在籍しており、彼らをグループに迎えることで、私たちのビジネスをさらに強化することができました。
このようにして、私たちはタイでのBPOサービス事業を成功させるための重要なステップを踏み出しました。
ASEANビジネスは、5年後、10年後、そしてその先はどうなりますか。
SocioFutureはASEAN地域からの人材を日本で積極的に受け入れ、共に働くことを目指しています。日本が直面している少子高齢化の問題を踏まえ、労働力の確保は、日本が住みやすい国であり続けるために不可欠です。私たちは、ASEAN諸国の多様な人々に日本での就業機会を提供し、地域社会の活性化につなげたいと考えています。
この取り組みは、SocioFutureがこれまで築いてきた地域の金融機関や地方自治体との強い繋がりを活かし、海外人材の受け入れを通じて地域社会に貢献するミッションに根ざしています。私たちは、海外からの人材が日本国内の様々な地域で活躍できるよう支援するとともに、彼らが充実した生活を送ることができる環境づくりに努めています。さらに、日本で得た技術や知識を持ち帰り、母国で活躍する人材の循環も促進したいと考えています。特に介護分野では、日本の進んだ技術やノウハウを学び、将来、母国でその知識を活かしてほしいと願っています。法的な整備が進む中で、数年内には介護領域で海外からの人材が日本で活躍できる環境が整うことを期待しています。これは、日本とASEAN地域の双方にとって有益な人材交流の促進を目指すものであり、互いの成長と発展に寄与するものです。
これまで印象に残っているプロジェクトやエピソードを教えてください。
2020年、SocioFutureは様々な要因が重なり、収益的に最も厳しい時期を迎えました。このピンチをチャンスに変えるため、私はグループ全体の業務を改革するスペシャルチームを創設し、抜本的な改革に着手しました。グループ内の各部署から精鋭20人を集め、事業部門全体の収益構造の見直し、センター運営の最適化、システム開発の効率化、ATM保守および販売戦略の再構築を目指しました。また、販管費の削減も重要な課題の一つとして取り組み、2年間で収益構造や組織構造を大きく変えるReborn Planをまとめ上げたのです。翌年私は、Reborn Planの中でも最も収益改善規模が大きい2つの部署を統合し、その部署のトップとして改革をリードし、1年でのV字回復を実現しました。
このプロセスで最も重要だったのは、社員一人ひとりが改革の可能性を信じ、全力を尽くすことができる環境を作ることでした。長年同じビジネスモデルに慣れ親しんだ社員たちに、新たな方法やアプローチを提示し、それを信じて取り組んでもらう必要がありました。最初は誰もがReborn Planの達成を疑っていましたが、強い意志と明確なプロセスをベースに、社員一人ひとりの貢献と変革への取り組みがこの難局を乗り越える大きな力となりました。
どのようなことを考えて仕事に取り組んでいますか。
私の働き方の根底にあるのは、広い視野を持ち、高い目標を設定することです。重箱の隅をつつくのではなく、全体を俯瞰して最適なゴールを見極め、それをチームと共有しながら仕事に取り組んでいます。私が掲げる目標は、常に先を見据え、大胆な挑戦を伴うものです。これにより、具体的な数字をもって将来のビジネスの成長を計画し、実現のための道筋を描き続けています。高い目標を自身とメンバーに課すことで、現状の延長線上では目標を達成できないことに気づくことができます。これまでの方法や業務の進め方を根本から見直す必要性を感じることで、新たなアイデアの創出が促されます。このプロセスを通じて、個々のメンバーが成長を遂げ、結果的に組織全体が強化されていくのです。このアプローチを取ることで、チーム全体が革新的な発想を持ち続け、絶えず進化し続けることができます。目標達成に向けた挑戦と成長の過程そのものが、組織をより強固なものとし、持続的な発展を可能にするのです。
SocioFutureで働く魅力を伝えてください。
SocioFutureでは、年齢や採用形態に関係なく、意志と情熱があればチャレンジできる環境が整っています。私が40歳で入社して以来、この会社に開放的でチャレンジを歓迎する文化がしっかりと根付いていることを感じています。ここは新しいことに挑戦したいという強い意志があれば、その夢を実現することができる場所です。私自身、この環境だからこそ挑戦することができたASEAN地域におけるジョイントベンチャーの設立やM&Aの推進は、単に新たなビジネス機会を探求するだけではない大胆なチャレンジでした。このプロジェクトのために、成功への道筋を描きましたが、BPO Bangkokの買収は苦労した覚えがあります。最終的には経営陣や取締役からの理解と支持を得ることができました。SocioFutureは、固定観念にとらわれることなく、より自由な発想で働ける環境があります。社員同士が率直に意見を交わし、良いアイデアであれば社内の誰もがそれを支持し、一緒になって実現に向けて取り組む風土があります。このような柔軟で仲間を支援する環境は、SocioFutureが素晴らしい会社である理由の一つです。